日本酒講座:「銀座せきぐち」さんでの和食と日本酒のペアリング体験講座受講レポート

      2023/02/15

久しぶりに、インフィニット酒スクールの講座受講を受講いたしました!

 

と言っても座学ではなく、割烹での和食コースで日本酒のペアリングを体験させてもらい、
人気のある組み合わせについて、その科学的根拠を説明していただく体験講座になります。

ここのスクールでこの手の講座は初めてなのでとても楽しみでした!

と言うわけで、「銀座せきぐち」さんでの日本酒ペアリングレポートをご紹介します。
かなり長くなりますがどうぞお付き合いくださいませ。

 

インフィニット酒スクールの公式ホームページはこちら
銀座せきぐちさんの公式ホームページはこちらです。

この日の講座手順について

せきぐちさんのこの日のメニューの、最初の5品について、
日本酒4種を一口づつペアリングを体験。
それぞれについて好みが好みではないかを
「◎」「○」「△」「×」
で判定
し、それらを後で皆で集計して、
その結果についてどのような理論でそうなったかをレクチャーいただきました。

 

自分のメモは殴り書きで書いており、いつの間にかそっちに一所懸命になってしまい
この講座の目的だった、他の方の感想や、先生のレクチャーを
ほとんどメモすることが出来なかったのが悔やまれます(汗)。

 

と言うわけで、メモしたこと&覚えていることは記載していきますが
あまり網羅的ではないことは、ご了承くださいませ。

今回ペアリングする日本酒4種をご紹介

アルコール分が少ない順に、左から並んでます。

1番目:秋田県「新政」コスモス 原酒 2021木桶仕込み
アルコール分は13度。
酸が特徴的でフルーティで軽快。
原酒のエキスの濃さはあるタイプ。
甘酸っぱくアフターはキレを感じます。

2番目:岩手県「AKABU」純米吟醸
アルコール度数15度
火入らしき、熱を入れたような柔らかさで、
味わいはニュートラル、バランスが取れているタイプ。
加水されてる淡さがあり、甘味が落ち着いており、収斂感もそこそこ感じられました。

3番目:福井県「黒龍石田屋」純米大吟醸
アルコール度数16度
2年半熟成&低温貯蔵。
吟醸感はほぼなく滑らかさが特徴的。
アルコール度数が高めなのでアフターのピリピリした刺激と苦味が目立ちました。

4番目:千葉県「不動」純米大吟醸 無濾過生原酒
アルコール度数17
フレッシュで生ハーブニュアンス、ボリューム感が特徴的。
アセトアルデヒドをはっきり感じられ、荒々しく、その中で感じる旨味を楽しめました。

結果的に、コース全体ではもう2種、全部でいただくことが出来ました。

 

追加の2種は、以下の2本でした。

島根県「天穏」生酛 無濾過純米酒
ヨーグルト的甘い余韻が特徴的ですが、
アタックは旨味とピリピリした刺激も目立ち、結構ボリューミーなお酒でした。

新潟県「八海山」純米大吟醸 雪室貯蔵3年
スペックを見ると甘めに思われるが、実際はそれほどでもなく感じました。
香りや味わいの酸や旨味のバランスはよく、ニュートラルな印象でした。

コース開始!この日のお料理とペアリングをご紹介!!

1品め:蕪と小松菜の鰹出汁ジュレかけ

出汁がしっかりと馴染んでおり、素材それぞれの歯応えが楽しいお料理でした。
ウニのワンポイントがアクセントのお料理ですが、
そのウニの香りと口溶けもしっかりとした主張として感じられました。

 

1番目の新政について、ここの評価を○と△にする人が多かったのですが、
日本酒が持つ、全体的な印象の中で、

アルコールの【強さ】と【濃さ】
に対し
お料理の【塩味】と【脂肪感】
のバランスがいいか悪いかが、
ペアリングとして合っているかどうかを分けているポイント、とのことでした。

 

それで、この1つ目のお料理と、1番目の新政とは、バランス的にはいいものだったのですが
後は個人好み的などの要素でのブレのため、このラインに固まっている、とのことでした。

 

ちなみに、私のそれぞれのペアリングの評価コメントを書きますね。
(Instagramの再掲です)
なお、それぞれの記号の後に、先生が言われていた評価を()で記してみました。

○(○)新政コスモス:
口内でそれぞれの特徴・お酒の酸とお料理ジュレの魚の旨味がお互いを引き立て合っていたことで、単独でいただくよりもそれぞれの良い面がボリュームを持ったように感じることができました。

◎(○)AKABU:
日本酒のニュートラルな吟醸香がお料理の素材の味や口内香とバランスがよく合っていました。お酒の甘味がウニで引き立ってより美味しく感じられました。

○(△)黒龍石田屋:
日本酒は低温熟成でありがちな後口の苦さと刺激が単独でいただくと目立つのですが、お料理の鰹ジュレがマスクしてくれるおかげで、日本酒の滑らかな口当たりをとても綺麗に感じられました。

△(○)不動:
無濾過生原酒の生のピリピリした刺激が、優しい味わいの野菜とはバランスがあまり良くなく、単独でいただくよりも少し気に障りました。

2品め:金目鯛胡麻味噌がけ

胡麻味噌の胡麻感が結構強めに効いていました。
金目鯛は湯引きされており、脂が程よく落ちて、生の鯛特有の青草の香りがほんのりと感じられる一品でした。

 

こちらは、口内に入れる時、金目鯛を多めにいただくか、
ゴマダレを多く乗せるかで、合わせる日本酒の好みが分かれる傾向にありました。

△(○)新政コスモス:
お料理の胡麻味噌ソースの香ばしさと味噌のコクがとても強く、日本酒の甘酸っぱさや爽やかさの個性が上書きされて、水の様に感じてしまいました(笑)。

○(○)AKABU:
胡麻のコクで引き立っている金目鯛の脂の甘味と日本酒の甘旨味、両方とも干渉することなく美味しくいただけました。

○(○)黒龍石田屋:
たれの塩味がお酒の後口の苦味刺激を緩和してくれていました。単独でいただくよりもよりお酒の滑らかさと旨味を綺麗に感じられました。

△(○)不動:
お酒と金目鯛の脂の両方の滑らかさを一緒に楽しめるのですが、その他お酒の香りの良さや金目鯛の淡い甘味はお酒のアルコール感に打ち消されてしまい感じ取ることが出来ませんでした。

3品め:鱈の白子焼き大根白煮

味わいは旨味がすごくシンプルでした。
大根が吸っている鰹出汁がとても立っていて、白子の滑らかさがよりトロトロに感じられる一品でした。

 

これは白子の滑らかさの口当たりとふくよかな甘旨さに注目する人が多かったです。
私は白子を少し炙ったところで香りの香ばしさを感じ、そこに着目をしたペアリングもありました。

◎(○)新政コスモス:
炙って白子が生よりも若干旨味に凝縮感があるため、お酒の甘酸っぱさで白子が爽やかに感じられ、お酒に出汁の旨味も加わるためお酒に飲みごたえも与えてくれました。

○(◎)AKABU:
白子の滑らかさとお酒の滑らかさのテクスチャのバランスが取れていて、悪くないと思いました。

◎(○)黒龍石田屋:
炙りの香ばしさがお酒の余韻の苦味をマスクしてくれて、お酒と白子、両方の滑らかな旨味をよりじっくり味わせてくれた組み合わせでした。

○(◎)不動:
生原酒の日本酒のピチピチしたフレッシュさが、大根に染みた出汁と白子とのコクと相性がよくバランスがよかったです。

4品め:林檎白酢和え

豆腐の裏漉しに生姜と練り胡麻を混ぜた和え衣と酢(白酢)でりんごを和えた一品でした。
白酢はとても滑らかなのですが、生のりんごと相まってか
結構強く酢を感じるすごく爽やかなお料理でした。
白酢が影響してか、りんご自体もとてもフレッシュに感じました。

 

強く酸が立っているお料理だったので、この酸をどう評価するか、で好みの幅ぶれがあったと思います。

○(△)新政コスモス:
酸が強いお料理だったのですが、日本酒の酸と甘味とのバランスは良かったと思います。

△(○)AKABU:
お料理自体に甘酸っぱさが日本酒の甘酸っぱさと干渉したようで、日本酒から単独では感じずらかった苦味を感じたような気がしました。

◎(△)黒龍石田屋:
単独ではあまり感じない甘味と酸が口内でお料理から足されるためか、お酒の滑らかさと旨味がよりしっかり感じることが出来ました。また、お料理側もお酒の滑らかさが足されることにより酸っぱさが緩和されるような感覚でした。

○(○)不動:
お酒のアルコール感の強さが目立ってしまう感覚もありましたが、林檎の香りやフレッシュさが生原酒と相性が良かったです。日本酒のアルコール感がお料理の酸を柔らかくしてくれているような気もしました。

5品め:甘鯛鱗焼き

マッシュルームのソースが下に敷かれてます。
パリパリした皮から脂が、身からも甘い脂、2種の脂の甘旨さが美味しくて、
マッシュルームソースはしつこさは感じず、旨味を味わいに足してくれるような印象のお料理でした。

 

ペアリングの好みはマッシュルームソースとの組み合わせに寄っているようでした。

△(◎)新政コスモス:
甘味と滑らかさに関して、お料理とお酒のバランスは悪くないと思いましたが、お酒の酸が必要以上に目立っていたと感じました。

◎(◎)AKABU:
甘鯛のふっくらした身の柔らかな旨味を、お酒の酸が、単独でいただいた時と比べてお酒が引き出してくれた感じでした。また、お酒の方も、甘鯛が持つ脂の甘味で甘酸っぱさが引き立って感じられました。

◎(○)黒龍石田屋:
カリカリの鱗とマッシュルームソースの2つの香ばしい香りと甘鯛の脂の優しい甘味が、低温熟成の日本酒の滑らかさと長い余韻の旨味を、どれもしっかり感じられて、口内のバランスの良さを感じました。

○(△)不動:
お酒のパンチの強さを、甘鯛の脂の甘味とマッシュルームソースの旨味が緩和してくれて、生酒らしいフレッシュさを感じられました。

その後のコース料理のご紹介

6品目「海老芋キャビア」
キャビアは塩薄め。
見た目では、味が淡白な芋にキャビアだと、キャビアがあまりにも塩辛く思うのではと
余計な心配をしましたが(笑)、塩薄めなのでこのバランスがすごく良かったと感じました。
お芋はホクホクでしたし、キャビアは塩辛的な、塩で引き立つ旨味とねっとりとした舌触りとの食感と味わいの対比が面白いお料理でした。

 

5つ目の日本酒、「天穏」は口当たりがピチピチと弾けるような感じがあったので
お芋のホクホクさと干渉して、キャビアの滑らかさがより強く感じる作用をもたらせてくれました。

7品目「カラスミと蕪」
カラスミは自家製とのことで、これも塩味控えめに作られていました。

 

ねっとりとしたカラスミの口当たりで、
噛むとじわっと旨味が感じられました。

 

カラスミのねっとりさが、旨味と相まって私はミルキーに感じれらたため、
4番目のお酒「不動」と一緒にいただくのが個人的には好みでした。

 

なお、追加講義として、
こちらのカラスミの塩味・脂肪味・粘性が高いので、
5番目の日本酒「天穏」が苦味を緩和してくれる相性、とのことでした。

8品目「黒毛和牛ロースト 農園野菜のグリル」
お野菜は、にんじん・さつまいも・ねぎ・百合根が添えられてました。

講義では、こちらのような黒毛和牛は脂が多いので、
お酒でも苦めに寄っている、メイラード反応が出ているお酒の
バランスが良いとのアドバイスをいただきました。

9品目「小松菜練り込み蕎麦」
お蕎麦も自家製とのことでした。
写真では分かりづらいですが、ほんのり緑のお蕎麦です。
薬味として大根おろしと生七味を出してくださってますが
これがメリハリのある辛味で
このコース終盤でとても目の覚めるような気持ちになりました(笑)。

コースのお料理は終了。
デザートの前にレモングラスとローズマリーのハーブティをいただきました。

デザートは、紅茶のジェラートの金柑ソース、でした。

 

なお、デザートに合わせる日本酒も、
雑談レベルで教えていただいたのですが、
デザートはそもそも「甘い」のが前提で、アルコールと一緒にいただくと
アルコールの苦味がすごく引き立つ形にあります。
なのでアルコール自体の甘味を思い切り強くしないとバランスが難しいとのことでした。

課外授業終了!全体的な感想は?

これほどしっかりがっつり、複数種の日本酒で一つのお料理の相性を確かめる機会はそうそうなく、
色んな意見を聞けるのは楽しいし、興味深いものでした。

 

参加してメモを取っていた身としては、大変とっても疲れましたが(笑)
普段自分のペアリングが自己流なので、気分の引き締めにもとても良かったです。

 

今までは自分なりの表現をすることばかりに邁進していたような気がしますが、
今後はもっと色んな好みの人の立場に立ったようなコメントも
出来るようになれたらと思った講座でした。

 

今度はワインのペアリング講座もぜひ受けてみたいですね。
(でも競争率高いんですよね。気合いを入れてチェックせねば(笑)。)

 

素敵な講座を開催いただき、ありがとうございました!

 

そして素敵なお料理を提供いただきました銀座せきぐちさん、ありがとうございました!

お店情報

住所:東京都中央区銀座7-12-5 銀星ビル B1F
電話番号:03-3547-0805
営業時間:[月~土]17:00~22:00
定休日:日曜日、祝日
URL:食べログ

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